夫婦1

山あり谷ありの人生、
泣いたり笑ったりと、
自分も本当に様々な経験をこれまでにしてきました。


気付くと、元気だった親たちも高齢になってきています。


寿命の来た人から、順番に人生を卒業していくことになります。


性格や家庭環境などは、人によって違ってあたりまえなのですが、


違うがために、
とても理解のできない状況になることも、
人生ではしばしば起こります。


そんな時には、スピリチュアルな視点でみると、
納得ができたり、
立ち止まってしまっても
また頑張ってやっていこうと思える場合があります。


私達は、今生きている命だけがすべてで、
これで何もかも終わってしまうと思うと、
死んだらどうなってしまうかなど、確かに不安だらけになりそうです。


しかし、魂は永遠であり、
お芝居のように何回も役柄を変えて、
生まれ変わると考えたならば、


今のこの辛い出来事も乗り越えていける場合がありますね。
私自身も、ここまで来るのに、どれだけかそれで乗り越えてこられたかわかりません。




さて、これは、ある仲の良い老夫婦のお話です。


夫は、何をするのも大変に真面目で熱心でした。
仕事はもちろん遊びも一生懸命でした。
そんな日頃の無理からか、
30代のある日に心臓で倒れてしまいました。


手術がうまくいき、一命をとりとめましたが、
その後も手術を繰り返すなど、
家族の心配は以後尽きることはありません。


そして、心臓だけでなくあちらこちらと症状が悪化し、
入退院や通院、救急車も何回呼んだかわかりません。
投薬や食事制限など、
妻の世話なくしてはとても生きてはいられない状態です。


そんな二人三脚の人生も、気付くと結婚生活50年経ち、
妻はこんなにも長く生きられるとは思っていなかったので、
感無量の金婚式を迎えました。


その後、高齢もあり症状も悪化してきます。


妻も、もう十分夫の世話をして、
いつ最期を迎えても、自分は悔いなくやってこれたと思った頃のことでした。


救急車で病院に運ばれ、夫の意識がはっきりしなくなりました。


これまで、いつもどんな時にも、
妻の姿が少しでも見えないと、妻の名前を呼び続けてきた夫でした。
身体の不調もあり、不安もあったからではないかと思います。


医師から、危ないので家族を呼んで下さいと言われます。
こんなことは過去に何回あったことかわかりません。
今回はもう難しいかと思われていましたが、
危ない状態を通り越し、状態が悪いながらも一命をとりとめます。


さて、そんな頃からです。
「おじいさん、おじさん‥」など、亡くなっているらしい方を呼ばれるようになりました。
おそらく、心配して、あの世の皆さんも見守ってみえるのでしょうね。

そのうちに、聞きなれない、女性らしき名前を頻繁に呼ぶようになります。

その名前には、誰も心当たりがなく、
しかも、明治や江戸時代にあるような、古い時代にある女性の名前のような感じです。

これまで、いつも妻の名前を呼んでいたのが、
以降、誰かわからない女性の名前を連呼し始めました。

名前だとわかったのは、時々、「さん」「ちゃん」がついている時があるからでした。
それに、ある時、妻に
「子供たち3人を頼む」と言ったんだそうです。
この夫婦の子供は、実は二人なんです。笑


こんな年齢になったとはいえ、
いくつになっても妻としては、なんだか複雑な気持ちになりますよね。
さすがに、妻も、他の名前ばかりを呼ばれていては、だんだんと悲しくなってきました。
自分はこれまで、長年、夫の世話をしてきたのにです。
しかし、もう目をはっきりと開けて普通に会話もできなくなっていて、
誰のことなのかを聞くこともできません。
なんともやりきれない気持ちになってしまい、
ある日、妻は号泣してしまいました。


さて、夫が呼ぶ名前の女性はいったい誰なのでしょうか?




実は、この老夫婦は、私の夫の両親です。


ある晩、私はお二人と一緒に病室に朝までいました。
名前を呼び続ける姿を、私は一晩見ていて、
どうやら、妻と、謎の女性は、
夫にとっては同一人物ではないかと感じました。


意識が深い部分まで入っていき、今現在ではない、過去の深い記憶の部分を思い出しているのかもしれません。

臨死体験などもよく聞かれますが、
あの世の体験だったり、
または、自分の過去世体験の、ヒプノセラピーのような意識を体験したのかもしれないとも思いました。


生まれ変わっても、人生の学びのパートナーは、役柄こそ変わっても、相手そのものは変わらないと、一般的にはいわれています。


さて、号泣した妻は、
どちらにしても、長く人生を共にしてきて、
やはりこの夫と一緒にいられることこそが
自分の幸せなんだと思い直しました。


この気持ちを聞いた時、
私も素晴らしい気づきを分かち合ってもらえて、
一緒に胸がいっぱいになりました。


生きるって、こうして自分で体験して感じていくことなんですね。
素敵な人生の先輩の姿を見せて頂けて、私も幸せです。


けれどです、
謎の女性はいったい誰?
息子である私の夫も
「おやじ、それにしても、さんざん母さんに世話させて、他の女の名前言うなんてなぁ‥誰なんじゃい?」って(笑)


謎が晴れるまでは、
この話題でもちきりでしょうか。
知らないのはご本人だけです。笑


証拠なんかないんだけれど、
きっと、今の人生と一番関係の深い過去世でのパートナーの時なのではないかと、
私はそう感じています。
元気だった頃と同じように
名前を呼び続けてますから。笑


男性の皆さん、いつこんなことがあるかもしれませんから、
パートナーを信頼していつまでも大切にして下さいよ。笑


いや、私なら、夫をボコボコにしちゃうかもしれません!