ナミちゃん

14日に、名古屋港水族館のシャチのナミちゃんが亡くなりました。


この知らせを、
ニュースに出た直後のタイミングで、偶然に知りました。
泣いてしまいました。


昨年夏に、久しぶりに名古屋港水族館へ行ったんです。
水族館はナミちゃんを目玉にして、
なんとか盛り上げたいというムードでいっぱいでした。


しかしこの時、
ナミちゃんの姿を見た私にわいてきたイメージは、
‥いつまで生きていられるのか‥と。


まさか本当になるなんて。


この時、白イルカも出産後の体調が芳しくない、
子育てをしないというような状態だったようです。

秋には、この白イルカの親子も亡くなっています。


私がシャチのナミちゃんと初めて会ったのは、
20年ほど前で、太地のくじら博物館でした。


もちろんこの頃は、鯨やイルカ、生き物にも特別興味があったわけでもなく、
ただの観光でした。


くじら博物館のある南紀は、一年を通して穏やかな気候で、
冬でも菜の花が咲くような暖かい場所です。


この時、博物館の海の入江を利用したプールにいたナミちゃんは、
ほんの少しばかりの芸らしきをしたのを記憶しています。


入江に近付くと、人の姿を認識してか、大きな姿を見せてくれていました。
「ナミちゃんって名前なんだ。私は〇〇ちゃんだよ、よろしくね!」
この時はまだ、どうせ伝わらないけどな、と思いながら話しかけていました。


7年前のことでした。
太地を訪れた時、やはりナミちゃんに会いました。
元気でいたんだ、と見ていると、近くまで寄ってきて、プカプカと大きな身体をゆっくりと回転して、お腹をみせてくれたりしていました。
探したらナミちゃんの写真も出てきました。


20年前に最初にナミちゃんに出会った後、
私は自分の人生の、結婚、離婚、再婚や、出産も経験し、想像していなかった出来事の日々も過ごしました。
泣いたり笑ったり、大波小波がありました。


私が今の土地へ来て、自分を見つめることが
出来るようになってきたと思っていたら、
ナミちゃんは逆に都会の名古屋へ行くというので、不安を感じていました。


鯨やイルカがなぜ水族館にいるのか?
考えたこともなかったけど、
ドルフィンスイムを経験して以来、
調べるうちに水族館にいるイルカ達は、捕鯨猟で生き残り、売買されている実態を知りました。


そして鯨やイルカの生態や習性を知れば知るほど、水族館などの狭いプールで飼われる生き物ではないのも、想像がついてきました。


昨年、NHKで、アリューシャン海域でシャチの群れが集まるのを特集していましたが、自然界の素晴らしさをアリューシャンマジックと呼んでいました。
本当に素晴らしい自然界のありのままの映像に、釘付けになりました。


哺乳類の彼らは、人間以上の知能を持っていると言われていて、広い地球の海をすみかに、群れを作り暮らしています。
人間の私達でいうと、コミュニティを作り協力し助けあって暮らしている感じですね。


彼らは捕獲される時も、逃げることなく群れで捕まるそうです。
家族が目の前で血を流し苦しむのも一緒に感じているんですよね。
実際にイルカと泳いでみると、理屈ではない、自分の内側からわいてくるようなエネルギーを私も感じました。
彼らは私達を内側から癒してくれる能力があります。


自然環境では、ひとりぼっちになったイルカなどはエサもとれず生きることができないそうです。
仲間が必要なんですね。

すでにヨーロッパでは、イルカなどの習性を考えてか、水族館などで飼うようなことはないそうです。


人間でも、いかに人生の最期まで、人間らしく生きられるかが医療や福祉でも問われますが、同じ地球の仲間達の尊厳も、これからは大切にしていけるといいと改めて思います。


ナミちゃん、本当にお疲れ様でした。
ナミちゃんの亡くなった翌日が私の誕生日でした。
なんだか複雑な気持ちですが、生を改めて思う日となりました。