旭山動物園小菅正夫園長
1月14日に、ナミちゃんの死で悲しんでいたのは書きましたが、
16日の大雪の日、秋から申込んでいた講演会がありました。
しかも、旭山動物園の前園長、小菅正夫さんの講演でした。
偶然とはいえこのタイミング!
いえ、偶然ではなく必然だったんでしょうね‥
どんなお話を聞けるか楽しみに出掛けました。
いのちの大切さを感じて〜動物からのメッセージ
と題して、旭山動物園の動物たちの出産と子育てのお話を聞かせて頂きました。
私達の命は、一人だけのものではない。
食べ物などたくさんの命をいただいて、そして先祖から命を受け継ぎ存在している。
そんなお話から始まりました。
動物園でホッキョクグマの子育てを成功させている所がなかった頃、母親がなぜ子育てをしないか、出産はしても食べてしまっていたそうです。
動物園で飼われていても、出産と子育ては野生にかえらなければできないという視点から、自然に近い環境状態をホッキョクグマに用意し、初めて成功させたそうです。
つまり動物園では落ち着いて子育てができない環境だったようでした。
人間もそうですが、子育ては母親が不安を感じていたり、子育てに不自然な環境下では、子供に注がれる愛情は100%というわけにはいかなくて、それに準じた分量に減ってしまう可能性があると私も経験上思うんです。
それでも母性がありますから、子供をなんとか守ろうとしますが、最近の虐待などが発生しているのをみると、人間もやはり難しい環境になってきているんでしょうね。
いくら母親とはいえ、ぶれない、何ものにも負けない心でい続けなければいけないのもシンドイですし、家族内のつながりや、周りに援助を頼んだり声を掛け合ったりも、なかなか難しい世の中になってきていると感じますね。
自分を振り返ってもそう思います。
動物園でも動物たちの子育て中の危険はあるそうです。
旭山動物園でも、ホッキョクグマの子供が、園でも注意していたにも関わらず、事故でお父さんホッキョクグマに脚をちぎられてしまったことがあるそうです。
カバは多産だそうですが、母親が大変強いそうで、子育て中は父親の尻にも噛み付くんだそうです。
こうして子供を守るんですね。
お父さんカバも痛いでしょうね。
他にもゴマフアザラシ、オラウータン、オオカミ、ゾウなどの出産と子育ての特徴を聞かせて頂きました。
今までこういった自然界にあるがままの姿で、動物園の動物を見てきたことはなかったので、小菅先生のお話は大変新鮮に感じ、逆に今まで何を見ていたのかと思ってしまいました。
形や色しか見てなかったんですよね。
自然のありのままの姿を聞いただけなのに、動物のイメージが一変してしまったんですから。
動物園に行きたくなりましたね!
学校の学習も、記憶の得点ではなくて、こんな、命が在る姿を、感じたり考えたりを皆で話し合うというものなら、有意義な内容になるような気がしました。
きっと、命の尊さに気付き、自分自身も他者も大切にできるようになることにも、つながっていくはずです。
動物園は、そんなことに気付くための象徴かもしれませんね。
小菅先生は、動物園は命をつなげていく使命がある、と言われました。
命が生まれる姿、年老いていく姿、ケガなどすることもある姿、死んでいく姿
これは限りある命の姿で、時には醜い姿もありますが、旭山動物園ではありのままを展示しているそうです。そうでなければありのままの命を伝えることはできないと言われていました。
私達人間社会も、様々な人が一緒に暮らしていますから、例えば障がいのある人が排除されては、誰もが暮らしやすい社会とはいえませんよね。
そして、それぞれの動物の習性や個性を活かして命を輝かせていくこともです。
旭山動物園は、これを上手く展示に取り入れて動物の姿を見せて成功させたんですね。
そこには、小菅先生や動物園の皆さんの愛がいっぱいあったから成功したんだとわかりました。
人間に例えたならば、持ってうまれたありのままを受け入れられ、個性を発揮できた時はイキイキとして、生きるエネルギーに変わる、そんな感じですよね。
シャチのナミちゃんは、水族館でも、果たして命輝いていられたのでしょうか‥
私達は考えることがありそうですね。
ナミがこんなに早く死ぬとは思っていなかった‥
というコメントをニュースで見かけましたが、どの命にも絶対はないと思います。
ホッキョクグマの子供が父親に脚をちぎられたのも、小菅先生は「まさか!」という事故の状況だったと説明して下さいました。
与えられた環境や、時として奇跡があり、それから動物も人間も心があるんだと思います。
介護もそうなんですが、できるだけ残されている能力を活かしていくことで、最後まで人間らしくあると考えられています。
生きている限り、一生懸命に自分らしく
というのがあるべき姿だとおっしゃられていました。
人間もまったく同じだと感じました。
小菅先生はユニークで大胆で、愛をいっぱいもった素敵な方でした。