三陸海岸の思い出3

タクシーを降りた駅は、木造の小さな建物でした。
2の話まで書いた後、よく考えたんだけど、おそらくここが陸前高田の駅だったと思う。



電車は行ったばかりで、30分以上待ちます。

駅員さんか、たまたま駅舎に居合わせた人だったかに、
「あんた、あっちからタクシーで来たね〜」
と話しかけられ、旅の途中で、大船渡から来たよって。
人は見ていないようで見ていたりする。



20年も前のことなんて、全部覚えてないけど、こうやって書いてるうちに、リアルにフッと思い出していく。不思議。

経験した記憶って、薄れていくけど忘れないのかもな。



それで、「タクシーで駅に来るなんて、珍しいから」とか言われたような。
顔にも、明らかに土地の人じゃない、って書いてあったんだろか。
この頃って、髪を長くしてて、旅やアウトドアではたいてい三つ編みにしてた。
赤毛のアンみたいな。


そろそろお腹が空いてきて、近くに店がないかぐるっと辺りを歩いてみるが何もない。
店らしきものもなくて、駅にあんパンが数個並んでいるのだけ確認したのを記憶している。

本当にあんパンだけだった、他には何もなかったし。あんパン食べたのかな??

他に覚えていることは、駅の向こう側すぐに山があったし、風や空気の香り。
こんな感覚までが人間の思い出なのかな。

自分が景色と一体化するような、そんな感じだった‥、今また改めて思い出す。
うまい説明ができないんだけど、時間が止まっているみたいな、無とか空とかいうような、そんな感じ。

思い出すと、ちょっと不思議でレトロな感じ‥‥。



1輌か2輌か?忘れたが、待ってた電車がやってくる。ガタンゴトンって音させながら。

ずらーっと長い座席が両端に向かい合ってたかな?

私は次か次の、気仙沼で降りた。
気仙沼は商店街とかあって、ちょっと町な感じ。

次に乗る電車の時間を決めて、それまでに戻ってこれる見所はないか尋ねてみる。

海の方へ行くと、お土産品の買えるお魚市場があると教えてもらう。

時間余裕ないから足速に海へ向かう。

漁船がたくさん停まっている。
イカ釣り船とかなのか?
まあるい透明のガラスの中に電球?入っていて、すごく明るくなるやつがたくさん取付けてある船。
ずらーっと並んでいる。
それと、潮の香りと、カモメの姿が私の記憶の映像。ここでも人はあまり見かけなかった。

この湾は、震災の津波の時に、浸水する様子がずっとテレビで映っていた。
20年前に立ってた場所‥。

お魚市場にはいろいろ売ってたけど、まだ家には帰らない予定だから、生ものとか冷蔵品とか買えないけど、瓶詰のイカの塩辛買ったんだよね。

イカの塩辛握りしめて急いで駅に戻りました。

気仙沼の駅そのものは、まったくというほど記憶がない。

そして電車で一関へ向かいます。



三陸海岸はここでおしまい。
この後は一関へと続きます。