三陸海岸の思い出5

三陸海岸の思い出4】の続きです。


今回、平泉が世界遺産に登録されますね。

20年前の、この旅の頃には、歴史や社寺など、まったく興味もなく、源義経さえさっぱりでした。
唯一興味があったのは食べること、味わうことでした。
けれど、それでさえ、今ほど楽しむことも知りませんでした。

今だったら、奥州藤原の土地をもっと満喫できそうなのに、自分のこととはいえ、わざわざこんなに遠くまで来て、地酒も飲まずに帰ってくるなんて、ほんと、もったいないなぁ、と思いますよ。笑

旅の続きのここからは、手元にある旅のガイドブックを開けて見ています。

当時の旅の情景は、その時感じた気持ちが蘇るほどリアルな旅でして、不思議なほどありありと様子が目に浮かび、自分の姿まで感じられるんです。
しかし、地理など、どんな漢字で書かれているかを、改めて確かめています。
そして、今ようやく気付いたハッとするようなことも、実は結構あったりします。

自然が好きで、北アルプスなどに登ったり、たくさん素敵な美しい場所を今までに訪れてきていますが、なぜか、この旅だけは、いまだに蘇ってくる感覚のある不思議な旅です。
うまく説明できないのが残念ですが、本当に不思議な感覚なんです。

今風に言うと、前世や未来世に関係がある場所とか言うんでしょうね。笑

スピリチュアルなことも大好きなんで、それも感じていますね。



さて、旅に続きます。

平泉といえば、なんといっても金色堂のある中尊寺です。
ここは絶対に外せません。

小雨の中、ここを訪れる周遊バスに乗り込みました。

バスは、7割乗車って感じだったでしょうか?
結構乗車しているなぁ、という印象です。
賑やかな、お喋りおばちゃん達のグループがいくつか乗車していて、車内はザワザワとしていました。

一人なのは私ぐらいでしょうか?

最初の場所は、厳美渓(げんびけい)です。一関から15〜20分位で、そんなに遠い場所ではなかったと思います。

ここは、磐井川の急流が作りだした渓谷です。
天然記念物に指定されています。

名古屋付近だと、岐阜県恵那峡とか、今私の住む三重県北部あたりだと、朝明渓谷とかいうイメージですが、もう少し開けていて、空が広く見えて明るい場所です。

ガイドブックには、エメラルド色の清流と書かれていますが、確かに川の水はエメラルド色してました。

ここの目玉は、実は、お団子です。郭公団子(かっこうだんご)と言います。

岩場に、東屋があり、休憩所になっていたと思います。

この隣に、対岸の岩山の上まで、紐の繋がったカゴが設置されています。
このカゴにお金を入れて、木づちで「コン!コン!コン!」と木をたたきます。

すると、音を聞いた茶屋の人が、お金の入ったカゴをスルスルとたぐりよせ、しばらくすると、お団子がカゴに入って戻ってきます。

おおーっ!!
と歓声が上がりました。

皆で注文した分だけ送られてきています。

すると、同じバスに乗車していたらしい男性から声をかけられました。

「団子食べませんか?一人では食べきれないので。」

私の他にも一人で乗車していた方がいたようです。

知らない土地に一人で出かけて、自分自身に対話しながら旅をしていて、急に誰かに声をかけられるといつも大変に驚いてしまいます。予想外だからというだけなんですが。

確か300円位でしたが、お団子は結構たくさん入っています。
「え?!いいんですか?‥じゃあいただきます」

1個だと思っていたら、3個くらいほお張りました。

「カメラ持ってますか?じゃあ、お礼といったらなんですが、コレしか持ってませんが、写真撮りますよ!」
と、陸前高田でタクシーの運転手さんに撮ってもらった、例の写るんですで、渓谷での記念に写真を撮ってあげたんです。

そして、私も渓谷で一枚撮ってもらいました。

「帰ったら送りますね!」

周遊バスは、便利ですが、時間も限られているため、少し散策したら、次へ移動です。

バスへ戻ってみると、
なるほど〜
私と、先程の男性だけが一人で乗車していたのがわかりました。

この男性は、私よりずーっと年上の方で、50近い方だったと思います。
仕事で出張したついでに、時間があったので乗車したということが、このあとわかりました。

6に続きます。