一泊二日

抗がん剤治療のため、入退院をしながら過ごす父ですが、

今の所は、強い副作用症状もなく、元気な様子で、ほっとしています。

以前書きましたが、父は前立腺がんの手術後、排尿コントロールがうまくいかなくなり、

オムツパッドなどが手放せなくなってしまいました。

それでも、家族の存在や健康がどんなに有難いかに気づいたと、よく語ってくれます。

私と父は気が合い、昔からお互いの気持ちを理解しあえる方で、

穏やかに話のできる相手同士なのですが、

それだけに、明るく振る舞う父の、心を察せずにはいられません。



両親の世代は、苦労や努力こそが人生だと考えているので、

痛くても、つらくても、ひたすら耐えて黙って頑張っているような父です。

逆に、私の母は、悪気はまったくないのですが、

心に思うことを、相手の気持ちも考えもせずに、

ずけずけと口にするようなところがあります。

悪気がない分、かえって質が悪いと思いますが・・苦笑

手術待ちの間も、母は同じように手術を待つ人に話しかけすぎて、

相手を不安にさせているのに気づきません。悪気はないのです。

実は、こんな母には家族みんなが腹が立ったり我慢したり、

特に私が加わると、我慢袋がお粗末なせいか、大ゲンカを繰り返してきました。

どこの家族にもこんな課題は何かあるもんですかね・・。

父も普段はそんな母の無神経さを知らんぷりをしているのですが、

さすがに先日、ついに我慢が切れてしまったと話してくれました。



私はハッと気づきました。

なんでも頑張って愚痴もこぼさない父は、

癌の宣告でショックを受けて、以来ストレスをためてきたんですよね、

パートナーの母は、そんな気持ちを受け止められず、

父が病気になり自分まで憂鬱な気持ちである愚痴を、逆に聞かされていて、

父のストレスは排尿という症状で、その我慢を出し続けているのです。



そんな折、今度は、「脱腸するようになったんだよね・・・」と父。

前立腺の手術でそんなこともあるようですし、

老化で筋肉が緩んできて隙間から出てくることも考えられるそうです。

鼠けいヘルニアと診断されました。

男性がほとんどで、手術でしか治らないそうです。

一泊二日の手術入院をしました。

緩んできたところから抜け出ないと、やっていけないという象徴なのかな・・



いつも世話をしてくれている妹から頼まれ、

代わりに一泊二日をお伴してきました。

ちょうどタイミングよく夫が休みで、ヒヨコ君の世話をお願いして家をあけました。

そうなんですよね・・誰かのお世話にならないと助けあってはいけないんですよね。

母は、身内だから当たり前って・・・思っているような節があり、

同居の妹に依存しているようです。

妹も仕事がありますから、心身ともに疲れてきています。

家族でも魂は別々の所から学びのためにやってきていますし、

お互い様とはいえ、どんなことも当たり前じゃないんですよね。

すべてに感謝すべきです。

この母の存在で、子供の頃から長い間、私は被害意識を持ち続けてきましたが、

逆にこの母だから気づかされることばかりで、

今、私が、人の心を一番大切にしていることや、

生まれたり死んだりという命にかかわることをとても大切にしているのは、

すべて反面教師であるこの母のお陰であることに、ある日気づいた時には

ショックと共に大きな感謝がわいて泣きました。

実際に辛い気持ちを味わうことなくては、なかなか人の気持ちを理解できないものなんでしょうね。



普段、我慢をしている父が、せめて、痛い辛いと吐き出してくれたらと、

一晩付き添いました。

胃がんの部分や、前立腺の部分、手術後の傷口などをレイキヒーリングしたり、

話を聞いたり、普段できないので、できるだけそっと静かに側にいたかったのです。



今回は、両親や妹のお陰で、

私も夫やヒヨコ君がいつも助けてくれていることに、改めて気づける機会になりました。

帰宅したら、「お疲れ様」と言って迎えてくれました。

あたたかく優しい言葉をかけあえる家族に、私はずっと憧れてきました。

与えるものが受け取るものです。

家族でも個性はそれぞれです、お互いを尊重しあい、

我慢して頑張りすぎず、優しい言葉をかけあい、時には泣き言も言える、

そして元気を取り戻したらまた自分で頑張れるような、分かち合い助け合える家族が、

夢でした。

それを気づかせてくれたのは母ですね。笑

お母さん、お父さんが生きているうちにたくさん優しくしてあげてね。